奥中山のクリ

奥中山のクリ
《町指定天然記念物》
ふりがな:おくなかやまのくり
名称:奥中山のクリ
数量:2
所在地:奥中山字西田子
指定年月日:平成21年11月25日
ブナ科クリ属に分類されるクリは北海道南部から鹿児島県屋久島まで日本列島に広く自生し、日本人の身近な植物として古くから生活の中で利用されてきました。
くりかっちゃ(クリのいがのこと。一戸町の方言。)に包まれた実は食用として親しまれ、栗ご飯や焼き栗など秋の味覚の一つに数えられています。
幹は主に建築材として利用されてきました。例えば、御所野遺跡で発掘された縄文時代の竪穴住居や、江戸時代終わりに建てられた旧朴舘家住宅の座敷周りにはクリの柱が利用されています。また、堅く腐りにくいことから鉄道の枕木に多く使われてきました。
しかし、その利用しやすさが原因となって、明治から大正にかけて鉄道の敷設が行われた際に野生のクリの多くが伐採され、大きなクリの木は非常に少なくなってしまいました。
奥中山教会(奥中山字西田子)の入り口付近に立つ2本のクリの木は、どちらも樹齢推定100年以上になる野生の樹木で、貴重なクリの大木であることから平成21年に町天然記念物に指定されました
そのうち木立の中にある1本は、2メートルほどの高さで幹が大きく三つに分かれ、そこから高さ20メートル、直径20メートルほどまで大きく枝先を広げた見事な樹形を見せています。
戦後に行われた「緊急開拓事業」で周辺一帯は畑になりましたが、このクリの木があまりに大きいため人の手で伐採することが難しく、また「三つ叉の木には神様が宿るから切ってはいけない」という地域の言い伝えから伐採されず、今日に至るまで大切に守られてきました。
その姿は、戦後の開拓期以降における奥中山地区の歴史を今に伝えているようです。

この記事に関するお問い合わせ先
教育委員会 世界遺産課 文化財係
〒028-5311
岩手県二戸郡一戸町岩舘字御所野2
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更新日:2020年11月24日